みなさんはプラグイン使っていますか?
ぼくはプラグイン使っていますが、全然作ったことがないので初めて実用的なものを作りました。
普段OSSのソースを読んだり、作ったOSSのREADMEを英語で書いたりするのですが、
英語力がないため都度ブラウザを開いてGoogle翻訳を使ってはVimに戻る日々でした。
画面の切り替えは時間ロスなのでVim上で翻訳できるプラグインを作りました。
このプラグインがあればVimは翻訳エディタへと生まれ変わります。
どうぞお試して下さい。
機能
状況に応じて、次のことができます。
- 動的に翻訳する
- 選択した範囲を翻訳する
- 現在行翻訳する
どれも多分よく使うと思います。
設定項目は次になります。
" 翻訳元言語letg:translate_source="en"" 翻訳先言語letg:translate_target="ja"" 翻訳結果ウィンドウのサイズletg:translate_winsize=10
動的に翻訳する
:AutoTranslateModeToggle
で動的に翻訳するモードに切り替えます。
再度実行するとモードがOFFにになります。
自動翻訳モードになると、バッファ上の文字が全て翻訳されます。
翻訳の契機は<CR>
になっていて、改行するとその行を翻訳します。
:AutoTranslateModeToggle!
では、翻訳元と翻訳先の言語が入れ替わった状態でモードを切り替ります。
ぼくは自動翻訳READMEを書く時に日本語が変になっていないかを確認するときに使います。
控えめに言って、便利です。
選択した範囲を翻訳する
ビジュアルモードで選択した状態で:Translate
で翻訳できます。
こちらはソースのコメントを読む時などに便利です。
ちなみに、:Translate!
で翻訳元と翻訳先の言語がに入れ替わります。
控えめに言って、便利です。
仕組み
翻訳API
一番大事な翻訳処理ですが、
GAS1のLanguageAppクラスを使用しています。
GASではプロジェクトをウェブアプリとして公開することができます。
HTTPリクエストはdoPost(e)
、doGet(e)
を用意することで受け取りことが可能です。
HTTPリクエストJSONを取得し、それをもとにLanguageAppクラスで翻訳してその結果を返却します。
こうすることで簡易の翻訳APIを作ることができます。
ちなみに、次が翻訳APIの処理になります。
functiondoPost(e){varp=JSON.parse(e.postData.getDataAsString());if(p.text==""){returnContentService.createTextOutput("text is empty");}if(p.source==""){returnContentService.createTextOutput("source is empty");}if(p.target==""){returnContentService.createTextOutput("target is empty");}vartranslatedText=LanguageApp.translate(p.text,p.source,p.target);returnContentService.createTextOutput(translatedText);}
ちなみに、プラグインが使用しているAPIのEndpointは次になります。bash
https://script.google.com/macros/s/AKfycbywwDmlmQrNPYoxL90NCZYjoEzuzRcnRuUmFCPzEqG7VdWBAhU/exec
次のようにcurlコマンドでJSONをPOSTすれば翻訳結果が返ってきます。
gjoはゴリラ製OSSの一つでkey=value
形式で引数を渡すことで簡単にJSON文字列を生成できます。
$ curl -L https://script.google.com/macros/s/AKfycbywwDmlmQrNPYoxL90NCZYjoEzuzRcnRuUmFCPzEqG7VdWBAhU/exec -d$(gjo text="my name is gorilla"source=en target=ja)私の名前はゴリラです⏎
翻訳CLI
翻訳APIがあればそれに本文と翻訳する言語のオプションを渡すだけです。
もともとVim scriptのみでHTTP通信を行い、翻訳するつもりでしましたが、
Goの勉強もしたいためCLIを作りそれをVimで呼び出す仕組みにしました。
CLIに関してはGoの標準パッケージnet/http
を使用して、
引数で渡したオプションと本文をJSONに変換し翻訳APIをコールしています。
typepoststruct{Textstring`json:"text"`Sourcestring`json:"source"`Targetstring`json:"target"`}// translate languagefunctranslate(text,source,targetstring)(string,error){postData,err:=json.Marshal(post{text,source,target})iferr!=nil{return"",err}req,err:=http.NewRequest(http.MethodPost,*endpoint,bytes.NewBuffer([]byte(postData)))req.Header.Set("Content-Type","application/json")client:=&http.Client{}resp,err:=client.Do(req)iferr!=nil{return"",err}deferresp.Body.Close()body,err:=ioutil.ReadAll(resp.Body)iferr!=nil{return"",err}returnstring(body),nil}
Vimプラグイン
Vimのプラグインはautoload
とplugin
ディレクトリがあります。
それぞれの違いは次になります。
ディレクトリ | 説明 |
---|---|
autoload | 使用するときに初めて読み込まれるスクリプトファイルを置く |
plugin | Vim起動時に読み込まれるスクリプトファイルを置く |
基本的に読み込みに時間がかかるスクリプトはautoload
に置きますが、今回はとくに重たい処理をするわけではないのでplugin
ディレクトリのみで物足ります。
プラグインのメイン処理についてざっくり紹介していきます。
CLI実行コマンド生成
まずCLIの実行コマンドを生成します。ban
は!
のことを指していて!
のときは翻訳元・先の設定を逆転させています。
let source_ = get(g:, "translate_source", "en")
ではグローバルスコープの設定値がなければ、デフォルト値をを取得するようにしています。target
の処理も同様になります。
" create gtran command with text and bangfunction!s:create_cmd(text, bang) abort
ifa:text==""returnendiflet source_ = get(g:,"translate_source","en")let target = get(g:,"translate_target","ja")let cmd =["gtran","-text=".a:text,"-source=".source_,"-target=".target]ifa:bang=='!'let cmd =["gtran","-text=".a:text,"-source=".target,"-target=".source_]endifreturn cmd
endfunction
コマンド実行
job_start
で外部コマンドを非同期で実行します。
Vimでは外部コマンドを実行する方法として、system()
とsystemlist()
がありますが、
これらは実行が完了するまでVimを操作できないので、翻訳を待ちながらその間に作業をしたいためjob_start()
にしました。
job_start
ではオプションを指定することができます。
callback
で指定したcallback関数ではコマンド実行結果の出力を取得します。
callback関数では出力の行数分呼ばれるので、s:result
変数に結果を格納していきます。
exit_cb
で指定したcallback関数ではコマンド実行完了後に呼び出されるので、s:result
に格納した結果出力をバッファに出力する処理を実装しています。
" translatefunction! translate#translate(bang, line1, line2,...) abort
let ln ="\n"if&ff =="dos"let ln ="\r\n"endiflets:result=[]letstart=a:line1letend=a:line2ifs:current_mode==s:real_time_modeletstart=1letend= getpos("$")[1]let cmd =s:create_cmd(s:getline(start,end, ln,a:000),s:bang)elselet cmd =s:create_cmd(s:getline(start,end, ln,a:000),a:bang)endif
echo "Translating..."let job = job_start(cmd,{ \"callback":function("s:tran_out_cb"), \"exit_cb":function("s:tran_exit_cb"), \})endfunction" get command resultfunction!s:tran_out_cb(ch, msg) abort
call add(s:result,a:msg)endfunction" set command result to translate window bufferfunction!s:tran_exit_cb(job, status) abort
calls:create_tran_window()call setline(1,s:result)calls:focus_window(bufnr(s:currentw))
echo ""endfunction
ざっくりですがプラグインが動く仕組みについて紹介しました。
もっと知りたい方はぜひソースを読んでみてください。
大したことしていないので読みやすいと思います。
既知の問題点
lexima.vimでは<CR>
のマッピングがあるので、
leximaが入っていると自動翻訳が動かなくなります。
この問題を修正する予定です。
今後について
現在プラグインはVimのみ対応しているのでNeoVimでも動くようにしたいと考えています。
また、NeoVimで実装されたフロートウィンドウを使用して翻訳結果をポップアップウィンドウとして表示させ方がより便利かなと思っています。
最後に
Vimを始めたてのころにセッション管理のプラグインを作ったことがありましたが、正直よくわかりませんでした。
はじめてちゃんとプラグインを作って、まだまだ知らないことがたくさんあるなぁと実感しました。
ただ、Vim scriptはbashと似ていて個人的にそんなにとっつきにくい印象はなく楽しかったです。
このきっかけに今後もプラグインをコツコツ作っていこうと思えました。
次のプラグインは電車乗り換え乗案内.vim
を作ります。
乞うご期待!
Google Apps Script ↩